我が家には、
・クロ(黒猫)12歳
・チビ(キジシロ)10歳
・さんた(ハチワレ)8歳
・たかんぼ(キジシロ)8歳
・みゃあ(シャム風)8歳
の、5猫がいます。
全員、子猫の時に保護しました。
2021年夏にチビが、リンパ腫に罹患しました。
人間でいう喉仏のあたりに、ビー玉くらいの大きさのしこり。かかりつけの町の動物病院で、細胞診をしてもらったところ、リンパ腫であろうと診断されました。
そこの先生は、
「リンパ腫は必ず再発をするし、予後もよくないガンなので、積極的治療はお勧めしない」と前置きしたうえで、
「でも、飼い主さんが『治療してあげたい!』とお考えなら、高度医療のある動物病院に紹介状を書きます」と言ってくれたので、
セカンドオピニオンとして、
某T大学付属動物医療センターをご紹介いただきました。
そちらで、全身麻酔によるCT検査を受けたのですが、先方の手違いか、
「麻酔が覚め、スタッフが目を離した隙に、
抜けきっていなかった微量の麻酔により再度意識を失ってしまい、一時的に呼吸が止まりました。すぐ気管挿管して、呼吸は戻りました」
という、医療事故もどきを起こされました。
その上、CTの画像を見ても
「(腫瘍の正体が)よくわからないんですけど、取ります?」
と非常に態度の悪い女医先生。
しかも「一時的に呼吸が止まったので、脳に障害が残るかも」と
まるで動物実験をしたあとのような説明とともに、まだ呼吸が荒く興奮状態のチビを返されました。
麻酔の際、もしかして荒く扱われたのか、
自宅に帰ってもひどい興奮状態で、肩と口で息をするチビを見て、尋常ではないと思い、20時を過ぎていましたが、かかりつけの先生に電話すると、
「一晩、高濃度酸素室に入ってもらい、深夜も私が看ながらお預かりしましょうか?」
と言ってくださいました。
ありがたく預かっていただき、翌日、安定した状態で戻ってこれました。チビたん。いろんな人に恵まれてるね。
そんな経緯からサードオピニオンとしてたどり着いたのが、2021年9月から今日まで、5回の手術をしてくれた、高度医療機器を持つ動物病院さんです。
そこには、腫瘍科専門の先生がいて、3つの選択肢をくれました。
①しこりの正体がわからなくても、手術してとる(とってから、そのしこりを生検に出して調べる)
②もう一度、しこりの細胞を少し抜き取り生検に出して正体を突き止めてから考える。
③手術はせず、調子が悪くなった都度、対処療法をする
私は迷わず「とってください」とお願いしていました。
1番最初の手術は2021年の9月だったと思います。以来、術後は首元をよく触り、しこりらしきものをみつけるたびに、切除手術してもらっていましたが2022年7月、4回目の手術のとき、CTの画像を見て、先生が、
「もう、外科的に手が届かない深部にも転移があるから、外科治療ができるのは、今回で最後だと思う。腫瘍を取り続けることは、猫ちゃんにも負担になり、そしていたちごっこになってしまう」とのこと。
先生が言うなら、そうなのだろう。私は、
「わかりました。以降は定期検診にきますので、都度、何がでるかを教えてください」と、
積極的治療を終わりにし、月一の定期健診に切り替えました。
それから7ヶ月。
月1回の定期検診をしている間にも、また首元にしこりはでき、いつのまにか、今までで最も大きい、3センチ×4センチほどにまで成長していました。
もう積極的治療は辞めたのだから、見守ると決めたのに、諦めの悪い私は、2月7日の定期健診時に、
「先生、最後にこの大きいのだけでもとれませんか?」
と言ってしまいました。
藁にでも何にでも、縋りたかったのかもしれません。
先生は、
「僕も取れそうな気がするんですよね…。取ってあげたいなぁ」
と言ってくれました。
人間のエゴでいい、私のエゴでいい。
2月21日、チビの5回目の手術が決まりました。
術前検査のため朝10時頃、チビを病院に預けます。この病院はとてもオープンで、
「手術時には何があるかわからないので、
基本的に飼い主さんに手術が終わるまで待合室にいてください」
と言うスタイル。手術室の中も待合室からガラス扉一枚隔てて中が見えます。
(先生の手元までは見えませんが)
12時過ぎから全身麻酔にてCTが始まりました。しばらくすると、私はCTの画像が見れる部屋に呼ばれました。
先生からは、
「腫瘍がかなり大きく、気道を圧迫し始めており、他部との癒着の可能性もあります。やるだけやってみますが、開いた結果、腫瘍が取れないと言う場合もあります。ご了承ください」
とのことで、手術が始まりました。
チビたん。頑張れ!あなたの鍵しっぽはたくさんの幸運をひっかけるためのものだよ。
祈るように私は待合室で待ちます。
手術が始まって30分ほどでしょうか。
私は手術室まで呼ばれました。先生は、
「手術中の傷口とか(血の気の多いもの)見るの大丈夫?」と断ったうえで、
(私はそういうの見るの大丈夫なタイプです)
「これが腫瘍。でね、この腫瘍がもう神経を巻き込んで肥大化しているので、腫瘍を取る=神経もとれてしまうことになるので、大変申し訳ないけれど、この腫瘍は切除できません…。
CTでそこまで事前にわかればいいんだけど、こればかりは切ってみないとわからないことなので…本当にご期待に沿えず、申し訳ない。今回、他にも小さな腫瘍があるから、それはできるだけ取り除き、大きな腫瘍に今、気道が圧迫されてきているから、呼吸困難にならないように、気道周りの筋肉を少し切除し、ゆとりを作りますので、しばらくは呼吸は苦しくならないはずです」
とのことで、手術は終了しました。
やれることはやり切った。
神経を巻き込んで肥大している腫瘍をこの目で見て、私自身がやっと「もう本当に外科的にできることがないんだ」と納得できた瞬間でした。
その後、3時間ほどしてから、麻酔が完全にぬけたチビに対面にいくと、喉を鳴らして頭突きをしてすり寄って甘えてきました。
「傷が大きいから痛いかなと思い、一泊の入院予定をおすすめするつもりでしたが、その様子だと1泊しなくてもいいかな。2週間効く抗生剤を注射しますから、今日退院しましょう。チビちゃんがもうこんなに帰りたがっている」
と、すぐに退院の手配をしてくださいました。
私は支払いを済ませ、病院の前でタクシーを拾い、帰路につきました。
チビはエリザベスカラーが髭にあたると方向感覚がおかしくなってまっすぐ歩けないので、帰宅すると蓑笠みたいにそれを付けました。
おうちに帰れることがなによりのいいこと。
2021年から足掻き続けた、病気との戦い。
人間にだって、いずれ訪れる「その日」。
「その日」がくることに、そろそろ向き合わなければならない時期になったのかもしれません。
手術をしてくれた先生は、
「最後は呼吸が苦しそうになるので、『安楽死』を選ぶ飼い主さんも、一定数います」と言っていましたが、私は最後まで命に向き合いたい。枯れるまで泣いても、絶対に向き合って寄り添いたいです。
長いお話にお付き合いいただき、ありがとうございました。
今朝も、私のベッドの上でむにゃむにゃしていたチビたん。
がんばりすぎなくていい。
できるだけ長く、一緒にいよう。